アパレルメーカーとして社会責任

先日、ユニクロを運営しているファーストリテイリング社が、ユニクロ製品の生産を委託している工場のリストを公開しました。


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/1108...


“ビジネス戦略上の重要性から、これまでは工場のリストは開示してこなかった。品質管理などの生産ノウハウを競合他社に知られないよう、情報を守りたかったからだ。しかし、もはや自分たちの戦略上の重要性ばかりを言っていても仕方がない時代になった”


このコメントにもある通り、今まで工場に関する情報を一切開示してこなかったファーストリテイリング社が情報開示をしたということに、時代の大きな変化を感じます。


お客様の方向を向いて商売をすることは当然として、これからは商品を生産する工場の労働環境やその工場を取り巻く環境問題まで含めて、社会の課題解決に向けて取り組む企業であることが求められる時代になってきました。


これまでの時代は、とにかくお客様の方向を向いて、お客様により満足していただける商品を作っていくことが求められてきました。とくにここ最近はファストファッションの台頭もあり、できる限り安く、という方向にどんどん進んできました。


そうやって、お客様の方向を向いて「良い商品をより安く」ということを追求していくと、必然的に生産コストを下げる方向に進みます。生産コストを下げる一番簡単な方法は、より安く生産できる地域、それは言い換えればより賃金の低い地域に生産拠点を移すことです。



かつては衣料品の生産といえば日本と言われた時代もありましたが、それがいつしか中国に移り、近年では中国も人件費が上がってきているため、東南アジアの各国に生産拠点がどんどん移っています。安さを追求しすぎた結果、2013年にはバングラディシュで生産工場が倒壊し1000名以上が亡くなるという事故も起きてしまいました。



私たちアパレルメーカーは、商品を生産する際に、基本的には縫製工場の人達とやりとりをします。どんな生地を使って、どんなデザインで、どんな付属品をつけるのか、そしていつまでにいくらのコストで納品してほしいのか。そんなやりとりをしながら商品作りをしています。


ただ、洋服を作るために必要な工程は縫製に入る前にいくつもあります。


参考までに、洋服を作る工程を簡単に書いてみたいと思います。



1. 原料

例えば、綿100%の洋服を作るためには、まずは畑で綿花を育てる必要があります。



2. 紡績

糸を紡ぐ工程のことです。畑で採れた綿花の細い繊維を紡いで糸にします。


3. 編みもしくは織り

糸を編んだり織ったりして、生地にする工程です。


つい先日、中国にある弊社の提携工場を見てまわったときの写真です。これが糸から生地を作るための機械です。



4. 染色

生地に色をつける工程です。一般的には1色あたり1000mなどの単位で生地を染めます。(100-200m単位で染めることもあります)

これが一度に約1000mの生地を染めることのできる機械です。

この染色工程で汚水が発生するのですが、きちんとした工場には汚水の濾過システムが完備させていますが、田舎の小さな工場などでは汚水をそのまま川に流す、といったようなことが起きてしまっています。


5. 縫製

染めた生地を洋服の形にしていく過程です。細かくは「検反」「裁断」「プリント」「縫製」といった工程に分かれています。


6. 検品

縫製された製品に不備がないかをチェックする工程です。




こういった工程で洋服が作られているわけなのですが、アパレルメーカーは縫製工場とやりとりすることはありますが、それ以前の原料〜染色の部分に関しては、縫製工場に任せているため、関わることがほぼありません。


こうした流れの中で、生産コストを下げることを求め続けていくと、その弊害として、


「原料をより安く安定的に作るために、農薬が大量に散布される」

「染色の過程で発生する汚水が、適切にろ過されないまま川に流される」


といったことが発生してしまったりします。


アパレルメーカーが知らないところで、工場が環境汚染を起こしてしまうことがあるわけですが、それは言い換えればアパレルメーカー自身が環境汚染を引き起こしているということでもあります。


品質の高い商品を、できるだけ安い価格で提供し消費者の方に喜んでもらえたとしても、その一方で環境破壊や労働搾取などといった弊害が起きてしまっていたとしたら、それはあるべき姿ではありません。


原料作りから販売まで、すべてのサプライチェーンを通してそこに関わる人たちが幸せになれるような努力を続けていく必要があります。


いきなり理想の姿に近づくことは難しいかもしれませんが、私たちの会社なりにできることを少しずつでも積み上げていき、持続可能性を高められる企業になっていきたいと思います。



株式会社ハートフィール

代表取締役 齋藤貴史



Posted On 2017.03.30